気になるまなざしーカオダイ教会潜入ー

旅ブログ

去年旅行したベトナムのダナンが思いのほか良かったので、今回は同じくベトナムのリゾート地のフーコック島に行ってみることにした。ベドジェットのホーチミン乗り継ぎで待ち時間が8時間くらいある。入国にかかる時間や出発の待機などを含めても5ー6時間はホーチミンで使えそうだ。市内観光でもするかと観光スポットを調べてみるが何となくピンと来ない。市場にでも行って地元の店を見ながら、その後ベトナム料理でも食べて過ごすかと考えていた。その時にふと目に留まったのがカオダイ教の神さまの目であった。そうかベトナムといえばカオダイ教だろうと大昔に何かの記事で見たこの宗教のことを思い出した。思い出すと気になり始めてさらに調べていくと、カオダイ教の総本山の中央礼拝堂がホーチミン市から100キロほど離れたホアタインというところにあるらしい。カオダイ教は1920年代にベトナムで起こった比較的新しい宗教で儒教・道鏡・仏教・キリスト教・イスラム教の教えをもとに形作られているらしい。天眼といわれる神の目が描かれた祭壇がありそれを信者は拝礼するようだ。目玉の神様のシールやバッチなど売ってたらお土産に欲しい。これは見に行くしかない、しかし一緒に行く妻や娘がカオダイ教に興味を持つとも思えない。総本山の教会まで往復200キロの道のりを家族3人で行くことができるのか?車のチャーターをするのかレンタカーかなどとツラツラ考えていたら、ホーチミン市内にも教会があることが分かった。というかそもそも最初に観光案内サイトで見た神の目はホーチミンの教会のものであった。観光客の拝観も受け入れているようなのでそこに行くことにした。市内観光の一つということにしておけば妻や娘も反対しないであろう。余った時間は市場を見たり食事などに充てることにしよう。

ホーチミンのタンソンニャット国際空港での入国は結構な混雑で1時間以上かかった。

Grabで車を捕まえて、さっそくカオダイ教会へ向かうこととする。周りの景色を見ながら、ここが昔のサイゴンかと一人感慨にふけっていると、頭の中をビリー・ジョエルの『グッドナイト・サイゴン』が流れ始める。空港から教会までの距離は15キロほどなので30分もかからないだろうと思っていたがなかなか教会に着かない。ホーチミンの渋滞をなめていた。通りを1ブロック進むのに10分ほどかかることもある。交差点や車線変更の時に他の車やバイク、歩いてる人たちとのチキンレース?どちらが道を譲るかの小競り合いが1分おきに繰り広げられる。運転手は10秒おきにクラクションを鳴らしている。途中、交差点の真ん中で接触したであろう車と車の運転手が言い合いをしている。それを取り囲むように言い合いをする二人を見物する人の輪。こちらまでどきどきする。いつの間にかビリー・ジョエルの歌は頭から消えていた。

1時間以上かかってぐったりしながら家族3人カオダイ教会前で車を降りる。この時点で当初予定していた市場などを観光しようという意欲はとっくになくなっている。

とりあえず気を取り直して教会に入っていく。1階は何か雑然とした空間が広がっている。奥のほうにテーブルが見える。これ以上中に入って良いものかと様子をうかがっていると、奥のほうから女性が一人現れた。その女性は微笑みながら横にある階段を上がって行けと促してくれる。会釈をし階段に向かった。男性は右の階段、女性は左の階段を使うようだ。上る階段が男女で別れてはいるが、上がった階のフロアには特に区別はなく一緒に行動することができる。階段を上るごとに壁画や祭壇が現れる。そしてついに見つけた涼しげなそれでいて力強いまなざし。一瞬どこかの国の紙幣のデザインか、それともどこかの秘密結社のシンボルを思い起こすようなそんなデザイン。

天眼 カオダイ教 ご神体 フリーメーソン

ついに現れたきりっと涼しい眼差し

やっと巡り会えたと、一緒にいる家族を置き去りにして一人満足感に浸っていた。娘はなんとか映え写真を撮ろうとあちこちで微笑んでいる。妻は娘に頼まれて写真を撮っている。幸い1階でお会いした女性以外の信者の方は、上の階にも居られなかったので、あまりご迷惑をおかけすることなく拝観することができた。

東南アジアの寺院を訪ねるとたいがい極彩色の遠慮のない装飾が施され、日本の寺社仏閣に慣れている身には、眩く力強さを感じるとともにどこかおかしくそれでいて混沌とした雰囲気を感じることがある。この教会でも最初は似たような印象を持ったものの、このきりっとしたそれでいて澄んだ眼を見ると混沌から抜け出しより高いところにいざなってくれるようなそんな力を感じた。

そんなことをあれこれ思いながら教会を後にし、ひとまず空港へ戻ることにした。天眼シールやバッジは見つけることはできなかったが、あのまなざしの実物を見ることができたことに達成感を感じていた。教会から空港までの帰りの所要時間は行きより短く40分ほどで空港に到着した。空港近くで食事を済ませフーコック行の飛行機を待つことにした。フーコックまでのフライトは1時間ほどである。21時の出発を待ちながら再びビリー・ジョエルの『グッドナイト・サイゴン』が頭の中で流れ始めた。

 

 

 

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