- 近日連載スタート・・南嶋奇譚 ガイドブックに載っていない与那国島
- はじまり(南嶋奇譚・ガイドブックに載っていない与那国島1)
- 久部良岳にやってきた(南嶋奇譚・ガイドブックに載っていない与那国島2)
- 久部良から祖納へ(南嶋奇譚・ガイドブックに載っていない与那国島3)
- 祖納探索(南嶋奇譚・ガイドブックに載っていない与那国島4)
- 島内ぐるぐる(南嶋奇譚・ガイドブックに載っていない与那国島5)
- 旅の終わりに(南嶋奇譚・ガイドブックに載っていない与那国島6)
- 再び与那国へ(南嶋奇譚Ⅱ・ガイドブックに載っていない与那国島1)
- 畳ビーチ4選(南嶋奇譚Ⅱ・ガイドブックに載っていない与那国島2)
- ヘビ岩・顔石・磐座・亀石そしてパパイヤ(南嶋奇譚Ⅱ・ガイドブックに載っていない与那国島3)
- 西のハトからミミシへ(南嶋奇譚Ⅱ・ガイドブックに載っていない与那国島4)
- 女神の拝所・海底遺跡の拝所(南嶋奇譚Ⅱ・ガイドブックに載っていない与那国島5)
- 海神の拝所(南嶋奇譚Ⅱ・ガイドブックに載っていない与那国島6)
- 大切な場所(南嶋奇譚Ⅱ・ガイドブックに載っていない与那国島7)
- ハトと亀(南嶋奇譚Ⅱ・ガイドブックに載っていない与那国島8)
- ハトの脚?(南嶋奇譚Ⅱ・ガイドブックに載っていない与那国島番外編)
- アラガ香炉とハイドゥナン(南嶋奇譚Ⅱ・ガイドブックに載っていない与那国島番外編2)
- マチリを訪ねて(南嶋奇譚Ⅲ・与那国島マチリ編1)
- 異国・大国クブラのマチリ(南嶋奇譚Ⅲ・与那国島マチリ編2)
朝起きて久部良集落のマチリの中心となるトゥニを訪ねた。
ちなみに久部良のマチリは昭和17年ころまでは、比川村が催行していたという。(まつり37号『国境の島与那国の情緒』与那原真吉著、1981)
昭和17年ころと聞いて思い浮かべたのは、このころの久部良の様子。
『ナツコ 沖縄密貿易の女王 (文春文庫 )奥野 修司著』などで描かれている久部良の密貿易拠点としての発展の時期と関係があるのかもしれないとも思え興味深い、、
トゥニの辺りは、まだテントなどが設置されないまま地面に置かれていた。マチリの始まりには少し早すぎたようだ。
マチリは旧暦の10月に入って最初の庚申(かのえさる・カニサル)の日から始まる。ちなみに島の方は庚申をカノエサルではなくカニサルと呼んでいる。最初聞いたときは蟹と猿??、、、
猿蟹合戦が思い浮かんだ。
ちなみに同時期に行われる祭りとして石垣島の種子取祭などもあるが、与那国島ではマチリの他にタナンドゥリ(種取祭)という祭りも行われており、直接の関係を見つけるのは難しそうだ、、
与那国島から少し離れた奄美大島でも庚申(奄美ではカネサル)の日に始まる旧暦の8月頃に行われる祭りがあるが、これはどちらかというと本土の庚申信仰に近いものがあるようで関係はなさそうだ。
一つ面白いのは、与那国島で旧暦の8月に行われるアラガタトゥタガビといわれる年度初めの島の作物の実りを祈願する祭りがある。
アラガ香炉とハイドゥナン(南嶋奇譚Ⅱ・ガイドブックに載っていない与那国島番外編2)
このアラガタトゥタガビとマチリは庚申の日に行われるという共通点がある。年度の初めに行われるアラガタトゥタガビと秋から冬至にかけて新年を迎える前に行われるマチリが同じ庚申の日を起点とすることは気になる一致である。
マチリの話に戻ると、2025年のマチリは、旧暦の10月1日は、現行歴の11月20日になる。そして旧暦10月に入って最初の庚申の日は、現行歴の12月17日となる。この12月17日がマチリのスタート日となる。ちなみに旧暦の閏月(旧暦では1か月が30日であるため、365日の地球の公転周期に合わせるために19年に7回月が付け加えられる。)で10月が2回ある年はどちらの10月で行うかは役所が決めるとのこと、、そこは役所に任せるのか、、、!!
庚申とは10干12支の組み合わせで決まる呼び名である。

10干構成図
10干は、陰陽五行説に基づく五行、すなわち木・火・土・金・水の5つの要素にそれぞれ陽と陰のそれぞれの性質を組み合わせたもの。
甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸
以上の10種類となる。
これは指を使って日にちを数えたことに五行の意味が付加されたものであるという、、
庚申の日の庚は、金の兄(かのえ)と呼ばれ五行のうちの陽の金の日となる。
そしてもう一つの12支は、よく知られている
子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥で、
これは木星が12年かけて天球を一周することによる、
木星の天球上の180度の位置にあると仮定された架空の星である太歳が木星と同じく12年かけて天球を一周する、その年に太歳がある場所に12個の名前を付けたことが起源になっている。
これを年だけではなく月や日にもその名前を付けることで12年、12か月、12日、12時刻、、を表現するようになっている。

12支構成表
久部良マチリが庚申の日に始まる理由として、昔異国や大国からの略奪があったため、大きな草履を海に流すことでこの島にはとてつもない怪物?が住んでいると誤解させ襲撃を防いだという言い伝えがある。そしてその草履を流した日が庚申の日であった。そのために久部良マチリは庚申の日に行われる。(まつり37号『国境の島与那国の情緒』与那原真吉著、1981)
一方で干支からアプローチしてみると、、
マチリスタートの日である庚申の五行を見て見ると、10干の庚(かのえ)は、金の兄つまり陽の金を意味している。12支の申(さる)も陽の金を表していることがわかる。

マチリの10干12支関係
よく丙午(ひのえうま)に生まれた女性は云々という俗説があるが、これは上記の表で見て見ると10干の丙(ひのえ)は、火の兄つまり陽の火、12支の午(うま)は、これも陽の火を表している。火性が強いことからの連想で生まれた説であるかもしれない。
このように考えると庚申は干支のどちらもが陽の金を表す日であることがわかる。
金の意味するところは、秋、今までの陽気の動きを禁じる働きが原義であるらしい。
参照:『現代に息づく陰陽五行【増補改訂版】(稲田 義行著)2016』
激しい海賊たちの動きを押さえるという祭りの趣旨に合うように思える、、それに武器は金属でできているものが多い、、
勝手に納得してしまった、、(これでよいのか?)
まあ後付けで何とでもいえるところが、こういう領域の話をするときの弱さでもあり自由さでもあるのだろう、、
少し時間をおいて再び訪ねてみると、儀式の最中であった。
スーツ姿の人たちが、トゥニの前で儀式を行っていた。

久部良マチリトゥニ
